EUとTPP

西暦2000年ですかね? 統一通貨ユーロのEU圏ができたのは。

EUとは何なのか? EU圏内の国々の国境がなくなって、関税もなくなって、ひとつの自由経済圏ができたということです。各国の賃金格差や社会保障格差はそのままで。パスポートだってEU圏に入る時はチェックされますけど圏内は移動自由です。

さて、どういうことが起こっているでしょう?

フランスの弱小農業者はどんどん潰れてます。力のある大企業農家は例えば土地や賃金の安い東欧に農場や加工工場を作ります。で、そこで生産された安い牛乳などがフランスで販売されます。これではフランス国内の移動不可能な小さな農家では価格面で太刀打ちできません。一事が万事、すべてにおいてそういうことが言えます。「自由競争」って聞こえはいいですけど、要するに「弱肉強食のジャングル」でしょう? 会社が潰れれば失業者が出ます。

そんな中何とか「国産」で頑張っているところはあり、スーパーなどでも「フランス製」をフランス国旗マークとともに前面に押し出している製品はたくさん出てきています。しかしこういう自由競争社会になると賃金は「高」から「低」へと流れます。価格競争があるので仕方がないでしょう? 労働者が拒否すれば、大企業はもっと安い場所へ移動すればそれで済んでしまうわけで。とにかくどっちを向いても苦しい。

自由競争経済になって果たして私たちは前より幸せになれたのでしょうか? モノの価格が安くなるのは消費者として、特に家計を預かるお母さんにしては嬉しいでしょう。でもちょっと立ち止まって考えてみれば、消費者とは生産者でもあるわけです。価格が安くなるということは企業はどこかで削らなければならないので給料が安くなる、下手すりゃリストラ。だから俯瞰すればちっともいいことじゃない。「金は天下の回りもの」… 昔の人はいいこと言いました。払ったお金は生産者のお給料となりその家族を養うことにつながっています。

さて日本。今でも外国産、というか国内企業が海外移転をしての外国産(?)がたくさん入っていると思います。国内に拠点を置く企業はそれと価格競争を強いられている。ちょっと話がずれますが、例えば航空業界は熾烈な価格競争になっていますが、古い情報ですけど当時中国機のスチュアーデスの月収が1万円でした。これでどう戦えと? 便利な100円ショップ、100円で売って利益が出るって一体どうなっているんだろう?といつも不思議です。(で、そこそこモノはいいので、「これじゃあ国内でまじめに作っている人たちが可哀想すぎ」と)

今でさえそうなっているのにTPP。巨大な太平洋経済圏。これ、素晴らしいことなのでしょうか? 海外移転が可能な大企業にとってはいいことなのでしょう。でも国内の中小企業にとっては? 日本は中小企業で持っている国なのですよ。TPP当初の完全なる「関税自主権放棄」はなくなり個別検討にはなっていますけど。国内の空洞化はますます進むんじゃないですか?

関税自主権なし。これ、江戸時代末、ペリーの黒船の軍事的圧力に敗北して泣く泣く飲まされた条件のひとつです(もうひとつは治外法権)。そのためにどれほど日本が苦しんだか…っ! 日清戦争に勝利し日露戦争に勝利して初めて、やっと関税自主権を取り戻したのです、事実血反吐を吐いて取り戻したのです、この権利を。

このTPP、アメリカというよりもグローバリストたちの画策でしょうけどね。EUみたくなる。弱肉強食のジャングル。

で、結局日本は調印するらしいのですけど、恐ろしいことにですね、この2000ページにわたる調印内容文書。英語で書かれていて日本語文がないんですよ。日本はTPPにおけるメインプレーヤーの一国だと思うのですが、というかアメリカと日本が入らなければ意味なしですから、日本語全文があってしかるべきでしょ? それなのに日本語文は大意要約部分だけで詳細はないのだそうです。外務省も翻訳する気はないと。これどういうこと? 下々は知る必要なし? 安倍首相だって2000ページに渡る英専門用語契約文を読みこなせるとは到底思えません。日本国民は批判も何もその土台となる内容を確認することもできない、… 英語で書かれた保険契約書にやみくもに署名させられるようなもの。私たち、あまりにバカにされてません?

郵政民営化の時も小泉総理言ってましたね。さすがに英文ではなかったと思いたいですが。「こんな1000ページ以上もある文書、全部読んだ人間なんていないと思うよ」って。国民の各家庭に直接影響の及ぶ国家の一大事なのに、いいんですかね、これで?


 



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by grandma2675 | 2016-01-06 22:40 | 日々の雑感